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あの日以来、毎日欠かさず合戦場に入った。
必ずまた、合戦に来ますと宣言した日。

だけど僕は、また独りぼっちになった。


週末になり、徳川方のプレイヤーの数が増えた。

それまで一方的に押されていた合戦のムードが、確実に変わっていた。


[合戦]榊原政子:味方左先から敵右中にゲリラいきます。


今まで自分たちの陣地を戻すだけでも大変だったのが、
ちょっとだけではあるけれども、敵の陣地に攻め込む場面が増えてきた。


あの時の徒党のメンバーは、だいたい毎日合戦に通っている。


僕を徒党に勧誘してくれたレゲエさんは、ひたすら「徒党を止めた」というログを流し続けていた。

柳家さんも、僕が理解できないような合戦情報をたくさん合戦私設に流し続けている。

ハマーさんともほぼ毎日顔を合わせた。
会うたびに、彼の方から僕に手を振ってくれた。しかし一緒に徒党を組むことはなかった。
彼はいつも、7人徒党を組んでいた。ひたすら武将徒党をしているらしく、公式HPの討ち取り欄にたくさん名前が載っていた。


反転攻勢になったことで、みんな急激に忙しくなったと悟るのには、しばらく時間がかかった。

あの時は一方的な展開すぎて逆にやることがなく、雑談ついでに徒党を組んでいた。
僕はその時、たまたま合戦場をうろついていて、レゲエさんの気まぐれで声をかけてもらったようなものだ。


合戦とは、本来こういう忙しいものなのかもしれない。


身近に感じつつあった人たちとの、本来の距離を見せつけられたような気がして、僕はとてもさみしくなった。


目当てだった目付の昇進試験である合戦手柄5000ポイントは、自分でもあっけないと思うくらいあっさりたまった。

合戦が均衡してきたこともあって陣の奪い合いが激化し、トンカチがしやすくなったからだ。

自分のやることを見失っていた僕は、とりあえずトンカチに精を出し、2時間もたたないうちにポイントをためてしまった。


これといった感慨もなく、合戦場を後にし自国の城、那古屋城に向かった。

織田家自体は合戦がなかったため、城にいた織田信長公に謁見し、目付への昇進を果たした。

今までやってきた昇進試験と比べて、えらく淡白に感じた。


ステータス画面で自分の身分が目付に変わったことを確認すると、僕はため息をついた。

心の中がもやもやする。

思っていたよりもあっさり手柄がたまってしまったため、時間は余っていた。これから、何をしようか…。


[対話]観音寺らむね:こんばんはー

ぼーっとしているところに突然対話が入ったので驚いた。

[対話]平手良太郎:こんばんは

[対話]観音寺らむね:良太郎ちゃん、お久しぶりね?

さほど久しぶりな気はしないけど。
でもよくよく考えたら、らむねさんと会ったのはこのまえ武将徒党を組んだ日以来だった。

[対話]観音寺らむね:良太郎ちゃん、暇そうね?

[対話]平手良太郎:ええ、まぁ・・・


実際、これから何をしようか手をもてあそんでいたところだ。

[対話]観音寺らむね:だったらさ
[対話]観音寺らむね:桔梗塾 って私設に入ってみない?

桔梗塾?

[対話]観音寺らむね:そう。合戦の初心者の人のために開いている私設なんだけど、
[対話]観音寺らむね:今日、これから講習会をやろうと思って。

講習会?

[対話]観音寺らむね:時間があったら、良太郎ちゃんも参加してみない?


塾、か。

僕はちょっと悩んだ。
そもそも合戦に来たのは目付試験を達成するためだ。
それが終わった今、合戦にこだわる理由はない。

が、


『今日はありがとうございました。明日も合戦に来ます。絶対来ます!だから』
『明日からもまたよろしくお願いします!そういっていたとハマーさんに伝えていただけませんか?』


不意に、思い出した。
僕はこういうことを言っていたじゃないか…。

[対話]観音寺らむね:どう?

[対話]観音寺らむね:時間があれば、で構わないんだけど


僕は戸惑っていた。


このまえの武将徒党の際、自分の実力のなさを痛感していた。

まだ合戦に参加するレベルじゃない。もっと強くならなければ。

そういう思いが、心の中を渦巻いていた。


しかし、強くなる方法がわからない。

レベルを上げて、覚醒をあげて、戦闘にうまくなって…。
それは何となくわかる。

でも、どこまで強くなればいいのか。
なにをもってして合戦に出ていいと判断できるのか。

具体的なイメージが全くできなかった。


[対話]平手良太郎:塾に入れば、

[対話]観音寺らむね:ん?

[対話]平手良太郎:僕はもっと強くなれるのでしょうか?合戦のことがよくわかるのでしょうか?


なりゆきで、らむねさんに迫る訊き方をしてしまった。

人としゃべるのが苦手な僕としては割と珍しい。

[対話]観音寺らむね:そうねえ…


そう言ってらむねさんはちょっと間を置いたあと、一気に話し始めた。


「それは良太郎ちゃん次第だよ」
「わたしは合戦の最低限のことは教えてあげられる」
「でも、そこから学び取って強くなるには、自分で努力をしなきゃいけない」

そういう努力を後押ししたいから、『桔梗塾』をつくったんだ。らむねさんはそう話した。

僕にはわからなかった。自分がどれだけ強くなれるのか。

[対話]観音寺らむね:まあ、
[対話]観音寺らむね:みんな、誰もが最初は初心者よw
[対話]観音寺らむね:合戦に興味があるなら、
[対話]観音寺らむね:あまり悩まないで、とりあえずやってみればいいんじゃないの?


とりあえず、やってみる。


らむねさんの言葉を、僕は心の中で反芻した。

不安はいっぱいある。けれど、自分が気になることなら、とりあえずやってみてもいいんじゃないんだろうか。

もう少し悩んで、僕は宣言した。

[対話]平手良太郎:あの
[対話]平手良太郎:やっぱり入ります。塾に。

[対話]観音寺らむね:そう!良太郎ちゃんならきっと来てくれると思ってた!
[対話]観音寺らむね:よろしくね、良太郎ちゃん

よろしくお願いします。

胸中の不安を断ち切るように、僕は返事した。
心はドキドキしていたけど、全く何も見えない暗闇の中で、一筋の光を見た気がした。
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