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なにがなんだかわからなかった。

なんとしても、手柄を稼がなければならない。

侍の目付昇進試験に必要な合戦手柄は5000。
昇進試験クエは順調に進めてきたけど、目付に関してはとても困難に思われた。

とりあえず合戦場に来てみたけれど、普段のダンジョンや安土との空気の違いに圧倒された。

合戦場に入ると自動的に集団会話に参加させられるが、そこで流れている言葉が全く理解できない。

まるで、異国に放り出された難民のようだった。



分からないままに、合戦場をうろついた。
そこらじゅうで、人と人が戦闘を、いわゆる対人戦が起こっていた。

あたりには刀や槍を振り回す音のみが響き渡っている。
とても不気味だった。

不意に、ぐらっとするような不思議な感覚に襲われた。

自分のキャラの頭の上に、グルグルのアイコンが出ていた。


逃げなきゃ。


肌で危機を感じた。

必死に逃げようとするが、さっきまで元気に走り回っていた体が、まるで鉛になったかのように、鈍くて動かない。


逃げなきゃ、逃げなきゃ!


鉄砲に狙撃された。

その事実を知ったのは、ここからずっと先のことだ。

必死に逃げるけれども、足どりは一向に鈍い。

醜く、滑稽にもがいていたその時。

不意に、戦闘に突入した。

あまりに突然だったので、ぼう然としてしまった。

相手は3体。
よくよく見たら、『武人』だとか『術士』という名前だった。

あ、これって敵プレイヤーに襲われたのかな?

気づいたときには、画面は暗転していた。


殺されたのだ。一瞬であっけなく。


門の中に強制的に戻され、しばらく立ちすくんだ。

これが合戦…。

なにも、なすすべがなく、ただただ、餌食にされた。

酷く、惨めな気持ちになった。そして、合戦手柄5000という壁の高さに、絶望すら覚えた。


帰ろうか。


心は完全に折れていた。

目付昇進なんて諦めよう。いつも通り、道場娘まりの雑魚狩りで、地道にレベルと覚醒を上げよう。

そもそも、自分のような信オン初心者が来る場所ではなかったのだ。



信オンを初めて1ヶ月。

もともと歴史が好きで、信長の野望シリーズは楽しんでプレイしていた。

このシリーズにOnline版があると知ったのがだいたい1ヶ月前。
オンラインゲームは今までやったことがなく、始めることについて不安はあった。

けれども、自分ひとりで進めるゲームというのにも閉塞感を感じていたから、ゲーム自体にはとても惹かれていた。

コンピュータではなくたくさんの人間を相手に、仮想の戦国時代を生きる。

そういう空想が、とても甘美で、魅力的に思えた。


月額課金で体験版もあったから、試しにやってみることにした。

オンラインゲームということで戸惑うこともあったけど、途中まではほとんどオフラインゲームみたいなら感じだったので、馴染むことはできた。

比叡山クエから単独での攻略に限界を感じ、思い切って徒党を募集した。

もともと人付き合いは得意ではなかったし、初めてのオンラインゲームだったのでとても緊張したけど、たまたま一緒に組んでくれた人がみんな優しかったこともあり、中級者クエは無事卒業することができた。

それからは、どう進めていいかわからなかったから、道場娘まりの雑魚狩り試練を延々とこなした。

レベルも60代前半だったし(何回も死にながらなんとかここまで上げた)、ろくな装備も揃えられなかったので、徒党の募集には声をかけられなかった。


徒党に全く入らなかったからか、共通の知人もできず、ずっと自分と家臣のみ、雑魚狩りはまきこみ戦闘でプレイを続けていた。

そんな状態だったから、道場娘まりの雑魚狩りに飽きるのに、さして時間はかからなかった。

とはいえ、そのほかのことでできることはだいぶ限られている。レベルが低い貧弱な僕でもできることはないか。
そんな中気づいたのは『昇進試験』だった。

昇進試験のクエは簡単ではあったけれども、ストーリーがあって、単調な雑魚狩りと比べればだいぶましに思えた。

与力、侍大将と難なくこなし、順調に進んできたところで出てきたのが、目付試験だ。

なんでも、合戦手柄を5000稼げという。



このゲームを始めた動機が動機だけに、合戦は前から興味があった。

どういうことをするのかよく分からなかったけど、とりあえずいってみることにした。
行けばなんとかなるだろう。そう言い聞かせて、合戦場に入ってみたんだけれども…。


なにがなんだかわからなかった。


現実は苛酷だった。
自分がまだ来るべき場所ではなかったんだ。

打ちのめされた気分で、合戦場から出ようと思った。

その時。


[合戦]味方左中から敵本陣の不破に行きます。囮・支援をたくさんお願いします。


チャットにメッセージが流れた。

途端に、合戦私設のチャットが勢いを増した。
門の中にいた人たちが、馬に乗り換えてたくさん走り出していく。

僕は、ぼーっとその光景を見ていた。

本陣にいく、ということはどういうことなんだろう?

内容からして、本陣に攻めるということなんだろうか?

うまくいけば、手柄を稼げるのだろうか…?

僕は合戦場から退出するのをやめ、軍監に話しかけて、軍馬にまたがることにした。
最初はよく分からなかったが、たくさんの人が軍監に話しかけて馬に乗っているのを見て、感覚的に乗り方が理解できた。

軍馬に乗って、みんなの走っている方向に自分も駆けだした。

自分がどこを走っているのかさえよく分からなかったけど、やがて、たくさんの人が集まる場所にたどり着いた。

そこでは、[大声]で、知らない人が何かを説明していた。とりつきのルートだとか、囮はカウント3で出てとか、いっている内容はよく分からなかった。

そのうち、カウントダウンが始まった。

僕は、周りの人の行く方向について行くことにした。
よく分からないけど、ついていけば合戦の雰囲気が味わえるじゃないか、と思った。

相変わらず惨めな敗北感は心の中に残っていたけど、好きで始めたゲームなんだから、ここで何もせずに帰れない。

合戦場で走り回るたくさんの人を見ていたら、いつしかそんな気持ちになっていた…のだと思う。



カウントが3になった。

周りの馬が一斉に駆けだした。
僕も慌てて飛び出す。

ちょっと物思いに耽っていたせいか、出だしが遅れた。

馬の集団はものすごい勢いで合戦場を走り抜けていた。

僕はとても興奮した。これだ!僕がこのゲームに求めていたのは!

一兵卒になって戦場を駆け抜ける。僕がやりたかったのは、無限に続くルーティン・ワークの妖怪退治じゃなく、この爽快感、緊張感じゃなかったのか。

とにかく夢中で走った。
まるで、今までの鬱屈を晴らすかのように。


行け、行け!行けえ!


ひとり、またひとり脱落していくのに全く気づかなかった。

しばらくして、馬柵に囲まれた陣幕が見えた。

あそこが本陣だ。直感的に理解した。

本能のおもむくまま、突っ込んでいった。

周りの人が少なくなったことにようやく気づいたが、今更この勢いは止められない。

馬柵を越え、陣幕の中に突っ込んだ。
恐ろしい量の『襲われログ』が流れた。

もはや何が起こっているかわからない。

気がつけば戦闘画面になっていた。


1の名前は『不破光治』。


この時、ようやく我に返った。
今、この状態で、僕はいったい何をすればいいのだろう?


[合戦]誰か不破につけた?
[合戦]うち×
[合戦]戦闘しているのは確認した。


私設がどよめいていた。
…ひょっとして、なんかまずいことをしたのかな?


[対話]おい!お前!


ピコッと音がして、薄水色のチャットが流れた。
これが『対話チャット』だと知ったのは、あとで人に教わったときだ。


[対話]なに武将にひとりで取り付いてるんだ!すぐにあけろ!


どうやらすごく怒っているようだった。

チャットを返したかったが、対話チャットの返し方がわからない。


どうしようどうしようどうしよう!


あたふたしているうちに、僕は不破に倒されていた。

レベル60代前半の武士が単独で四天王に取り付いたんだ。そんなにもつわけがない。

気がつけば幽霊になって、また門の中に戻っていた。


なにがなんだかわからない……。


僕は思考すらできずに、門の中にたたずむしかなかった。(序章 完)



こんばんは。お久しぶりです。初柴清です。

ブログ休止宣言をしましたが、ちょっと復活しようと思います。
とはいえ、ゲーム本体のことは書くつもりはないのですが…


いきなり意味不明な文章でついてこれない方もたくさんいると思います。
これは、信オンを題材にしたSS(ショートストーリー)の序章です。

前々から、信オンでSSを書きたいという気持ちがありました。

いくつかアイディアはありましたが、企画段階でボツになること多数。

休止(事実上もう引退ですが。)期間もなんだかんだいってこのことにこだわっており、
今回ようやく文章が書けるようになった、という感じです。

書くきっかけになったのは…正直よくわかりません。

ただ最近、何らかの創作活動をしたくなったこと。
信オンから距離をとれたことで、より冷静な目で信オンを見れるようになったこと。

この2つが大きくかかわっているとは思います。

長らくこのブログを読んでいる方はもうお分かりだと思いますが、
この手の企画で私が長持ちしたことは過去にあまりありません(涙)。
今回のSSもこれっきりになる可能性が高いです。
作っている最中は楽しかったので、もうちょっと続けていきたいとは思っていますが…

SSなので、すべてフィクションで書くつもりです。
とはいえ、私自身が体験した事の影響も強くあるでしょうし、完全なフィクションは難しいだろうなーとは思っています。

タイトルを見て、蒼天録鯖って何?と思ったと思いますが、
舞台設定はサーバー統合がされなかった仮想設定で、「蒼天録」サーバーが新設されて約半年後という設定です。

現実の国勢と絡めるのは難しいしやはり多方面の影響を考えると、完全に架空の舞台とするしかありませんでした。
当初はゲーム内に存在しない、「伊達家」「豊臣家」「島津家」を設定するか、とも考えましたが、
やはり話を進めるうえで色々「無理」があったり、架空設定等考えると非常に面倒だと思い、
平行世界的な架空のサーバーを作るのが一番楽だという結論に達したわけです。

基本的に現行の合戦仕様に準拠した内容にするつもりですが、
長くプレイから離れているのと、調べものに費やす時間が限られている関係もあり、
おそらく書く内容は実際の合戦仕様とかけ離れているシーンがたくさん出てくると思います。
その辺は大目に見てほしいです。

そもそも、合戦について詳しく紹介するより読み物として面白く書きたい気持ちが強いので、
仕様面についてはそこまで詳しく書くつもりはありません。
面白くないとバッサリ断じれば、SS独自の設定に変えるかもしれません。その辺もご承知おきいただけると幸いです。

まぁ、『三日坊主・極』を実装している私なので、あまり期待しない程度に見てくれるとありがたいです。

最後に、注意事項を。

・これはコーエーが開発・運営をしているオンラインゲーム「信長の野望Online」の二次創作です。
・「『信長の野望 Online』に関わる著作権、その他一切の知的財産権は、株式会社コーエーテクモゲームスに帰属します。」または、「(C)2003-2015 コーエーテクモゲームス All rights reserved.」
・「このWebサイトに掲載している『信長の野望 Online』の著作物は、『信長の野望 Online』公式サイトにおいて使用許諾が明示されているもの、もしくは『信長の野望 Online』の有効なアカウントを所有しているユーザーが株式会社コーエーテクモゲームスから使用許諾を受けたものです。」
・作中に登場する人物・団体は架空のものであり、実在の人物・団体とは関係がありません。
・作中の設定(特に合戦仕様)については、実際のものと異なる場合があります。
 このSSを参考に合戦を進めて結果が出なかったとしても、当方としては責任は負えません。
・このSSを無断で転載、改変することは禁止します。ただし、サイトのリンクはフリーです。

※SSを作成するにあたって著作権や利用規約との絡みはどうなるのか気になったので調べました。
 著作権に関しては、同人活動の範囲内ではありますが厳密にはアウトなので、コーエーから要請があれば公開は停止するつもりです。
 利用規約についてはSSに関する項目がなく、かつ認められている記載もないため『グレーゾーン』としか言いようがありません。
 こちらも、著作権と同様の対応をするつもりです。とりあえず、グレーゾーンであるため、利用規約で要請されている付帯条件は改めて掲載している形です。
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